「ただいま」
掛けられた声に圭吾さんとふたりで玄関を見る。
俊さんが帰って来たのだ。
手ぶらということは、持って行った絵はすべて売れたということか。
「俊さん、絵はどうしたの?」
「置いてきた」
“置いてきた”?
“売ってきた”じゃなく?
「来週、個展を開くんだ」
「個展!?」
思わず大きな声になる。
俊さんって、そんなにすごい画家だったの!?
「驚くこともないだろ」
私の反応が不満だったのか、俊さんは眉根を寄せて私を見た。
「金さえ出せば、誰だってどこでだって開ける」
「え? そうなの?」
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