休日にはお父さんの趣味に付き合ってみんなで登山をした。
流星群がくると聞きつければ、真夜中の砂浜に寝転がって観測も。
クリスマスだって誕生日だって、いつだって一緒だった。
三人で過ごした日々が蘇ってきて、胸がいっぱいになる。
そのお父さんを忘れて、別の人を好きになるなんて……。
お母さんの神経がわからない。
ぎゅっと目を閉じて拳を強く握った。
爪を突きたてた手のひらの痛みで我に返る。
「お腹空いた」
「は?」
「だから、お腹が空いたの」
膨れっ面のまま俊さんに訴える。
そうすることで分の悪い話を切り上げるしかなかった。
「なら家に帰れ」
「やだ」
「明日からまた学校だろ?」
聞きたくない現実に首を横に振る。
「引き受けたのは圭吾くんの面倒であって、亜子じゃない」
「ひどーい」



