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圭吾さんと橋で出会ったときの状況や、圭吾さんが体験したことを話し終えると、俊さんは眉間に深い皺を寄せて考え込んでしまった。
さっきのように信じられないといった様子で私たちを一蹴しないところをみると、少しは信じているのかもしれない。
「俊さん? どう思う?」
痺れを切らせ、俊さんに尋ねる。
俊さんは目だけ私に向けて、大きく息を吸った。
「あり得ることかもしれない」
「え?」
圭吾さんと私は顔を見合わせた。
先に話を聞いておきながら私はまだ半信半疑だというのに、俊さんは「信じる」という答えを導き出した。
なんとなく置いてきぼりをくらったようだった。
「これは一九八〇年代にあったことだが、三十二年前に飛び立った飛行機が、当時着陸予定だった空港に降り立ったって話を聞いたことがあるんだ」
「……どういうこと?」
「当時、行方不明になって事故として処理された旅客機が、三十二年後の空港に突然着陸したんだよ。時空のゆがみにはまったんじゃないかって」



