桜の花びら、舞い降りた


俊さんが圭吾さんの服を見てしげしげと観察をするものだから、圭吾さんは助けを求めるように私へ視線をよこした。


「俊さん、これにはいろいろと深い事情が……」

「深い事情?」


俊さんからは訝しげな目を向けられ、圭吾さんからはすがるような目が向けられる。
ふたりの目をかわるがわる見ながら、どうしたものかと頭を悩ませた。

私がついさっき圭吾さんから聞いた話をしたら、俊さんはどう思うだろう。
私の気がふれたと思う?
それとも、なんの冗談かと一蹴される?
俺を騙すなんて百年早いとも言われそうだ。

でも、ここまで連れて来てしまった以上、俊さんに話さないわけにはいかない。
……よし、思い切って話そう。


「俊さん、ちょっと信じられないと思うんだけど……」


前置きをしてから俊さんの顔を窺うと、話に食いついてくる感じがいっさいしない。
それどころか、自分も紅茶を飲もうと思ったか、キッチンへと行ってしまった。


「あのね、彼、過去から来たらしいの」


少し離れた俊さんに聞こえるように、少し声を大きくする。