桜の花びら、舞い降りた


なるほど。
それで血のつながりがないわけだ。


「美由紀さんも同じく圭吾さんのことを……?」


様子をうかがいながら聞くと、圭吾さんはゆっくりとうなずいた。

兄と妹として暮らしながら、ふたりは気持ちを通い合わせていたようだ。
どういう経緯かはわからないけど、美由紀さんに縁談が持ち上がって、それを阻止するために会場から連れ出した。


「美由紀さんと逃げたあとは?」

「走って走って走って……。気づいたら橋の上にふたりでいたんだ」


それが、私が圭吾さんと会ったあの橋だ。


「それから俺たちは、その欄干を乗り越えて川へ飛び込んだ」

「えっ……」


言葉に詰まってしまった。
それじゃ心中だ。


「それなのに、気づいたら橋の上にいた。……俺ひとりで」


迷宮の中に放り込まれたように頭の中が混乱する。