「そうでしたか」
それじゃ、ふたりで会場へ向かうときにでも、はぐれたのだろうか。
「そのパーティーが始まる直前、俺は美由紀の手を取ってそこから逃げ出した」
「……え?」
逃げ出した……?
パーティーが始まるっていうのに?
どうしてまた。
圭吾さんは、遠くを見るような目をしていた。
「美由紀を結婚させたくなかったんだ」
妹さんを結婚させたくなかった……?
どうして?
強烈なシスコン?
それともまさか……。
さらに踏み込んだ想像に、胸がドキドキし始める。
「美由紀と俺は、血がつながってない」
私の頭の中を見透かしたのか、彼がすぐに続ける。
「女の子に恵まれなかった両親が、養子として迎え入れたのが美由紀だった」



