「その手帳、俺に見つけてもらうのを待っていたのかもしれません。実は、この神社の場所もはっきりとはわからなかったんです。それなのに、近くまで来たら自然と足がここに向いて。この場所に来たことがあるような、不思議な感覚なんです。写真で見たせいもあるかもしれないけれど、亜子さんのことを懐かしいと感じたり」
――人は前世でかかわりを持った人を懐かしむ――
私がこの神社を遠い遠い昔から知っているように、亮介さんもここを……。
「なんだか不思議ですね」
亮介さんが優しく微笑む。
圭吾さんと同じ空気を持ってる人だと感じた。
私に笑いかける顔も、放つ優しいオーラも。
私たちの間を心地良い春の風が吹き抜けた。
「亜子さん、よかったらあそこに座って少しお話ししませんか?」
亮介さんの肩先に、桜の花びらが一枚、舞い降りた。



