桜の花びら、舞い降りた


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平成元年十月

正直に話すよ。
今でも亜子ちゃんを手離したことを後悔するときがある。
あのまま亜子ちゃんと一緒にいればよかったかもしれないと。

俺が教えたスノードロップの花言葉を覚えているかな。
……あ、覚えているかなっていう言い方は変だな。
亜子ちゃんはまだ生まれてもいないんだから。
あの花言葉「希望」をずっと胸に。
亜子ちゃんと会うという希望を。

亜子ちゃんとの再会まで、あと二十八年
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平成二年三月

あれから二十五年が過ぎていく。
とてつもなく長い時間だ。
悲しいことに、少しずつ記憶は薄れていっている。
覚えておきたいことは忘れてしまい、忘れてしまいたいことは覚えてるなんて皮肉だ。

でも、亜子ちゃんと過ごした日々が遠くなるということは、その分、亜子ちゃんとの再会が近づいていることの証。
本当に待ち遠しい。

亜子ちゃんとの再会まで、あと二十七年
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平成五年十一月

こうして歳を重ねてきて、最近よく思うことがある。
亜子ちゃんと会うときの自分の年齢を。
気持ちはあの時のままなのに、そんな姿で亜子ちゃんに会うのかと思うと自信がなくなる。

亜子ちゃんとの再会まで、あと二十四年
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