それじゃ、その亡くなった人が書いたものなのか?
雲をつかむような実体のない話で、首を捻るしかなかった。
「ただ、中の本は売り物になりそうなものがなくてな。で、それがどうかしたのか?」
「……いや、なんでもない」
一瞬、じいちゃんにこの手帳を見せようと思ったがやめておいた。
今そんな話をして、片づけ作業が長引くのは嫌だったのだ。
そしてなによりも、この手帳のことは誰にも言いたくない、自分だけの胸の中に、そんな気持ちが芽生えていた。
俺は、それらをじいちゃんに怪しまれないように隠した。
「そろそろトラックに運び込むからよろしくな」
「ああ」
じいちゃんは、そんな俺の態度には全く気づかず、廊下を歩いて行った。
俺は再び手帳と写真を手に取った。
約束の二〇一七年四月十六日まであと一週間か。
それにしても不思議だ。
ここでずっと俺を待っていたかのようなタイミングで見つかった手帳。
もしも今日、俺がここへ手伝いに来なかったら。
もしもこの棚の片づけを担当しなかったら。



