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「亮介、そこの奥にある荷物も頼んだぞ」


俺は大きくため息をついて、店の奥にある棚の前に座り込んだ。

正直言って、今日はここへ来るつもりなんてなかった。
せっかくの日曜日。
友達との約束だってあったし、アルバイトだってあったんだ。
それなのに、オヤジに半ば無理やりここへ連れてこられてしまった。
それは、じいちゃんがひっそりとやっている小さな古本屋を畳むことになり、その片付け要員のためだった。

じいちゃんは店内の本を片っ端から段ボールに詰め込んでいる。
売れ残っている本はすべて、別の古本屋へと行き先が決まっているらしい。

もう何年も開けられていなかったのかもしれない。
その棚は、戸を開けた途端カビ臭さが漂った。
埃っぽさも手伝って鼻がむず痒くなる。
くしゃみを繰り返しながらも、ようやく小さな箱を出し終えた。


「さてと、これを全部段ボールに詰めるのか」


折りたたまれた段ボールを組み立て、今度は詰める作業に取り掛かった。

次々に箱へ放り込んでいく。
自分の物じゃないという意識が働くのか、扱いは乱暴になる。