「帰ったんじゃなかったの?」

「亜子さんですよね?」

「……え?」


うなずく私を彼が眩しそうな目で見た。
一体どういうことなんだろう。


「あの、あなたは……圭吾さんじゃ……ないの?」

「これを見てください」


彼が私の前に差し出したのは、見覚えのある一冊の手帳だった。


「これは……」


俊さんが圭吾さんにあげた手帳だった。


「どうしてこれを?」

「一週間前のことです」


彼はゆっくりと話し始めた。