桜の花びら、舞い降りた


右足を欄干に掛けようとしたその瞬間、強い力で肩ごと抱きかかえられ、橋の歩道に倒れこんだ。


「痛っ!」

「なにやってんだよ、亜子!」

「……俊さん?」


俊さんは倒れた体を起こし、私の腕を引っ張って歩道に座らせた。


「くそっ、いってーな」


倒れこんだ時に擦りむいたのか、左肘をさすっている。


「ったく、なにをしようって気だよ」


彼が呆れた顔を私に向けた。


「ここから飛び降りて、圭吾くんに会えるとでも思ってるのか?」


私は言葉も出せずに、ただ座っていた。


「あんな奇跡が二度と起きるわけがないだろう? ここから飛び降りたら、あの川に落ちて命をなくして終わり。そんなこともわからないのかよ」


俊さんが珍しく声を荒げた。