「霧が発生するのは予測できるんですか?」


圭吾さんが俊さんの目を見据えた。


「たぶんできると思う。天気予報で気温を見れば」


俊さんはそう言うと、今度はパソコンを立ち上げた。


「例えば、これを見て」


俊さんの指さす画面を凝視する。
それは、私たちが住む街の気象予測だった。


「一時間ごとの気温の予測が載ってるだろう。これで、寒暖の差が激しいときを探せばいいんじゃないか」


俊さんは自分にも言い聞かせるように言うと、画面をスクロールしてその条件に合う日を目で追っていった。


「川の水が温められるためには太陽が出てないとダメだから、晴れて気温の高い日」


晴れて気温の高い日?
この寒い冬の時期に、そんな日があるの……?


「そして、その次の日にグンと気温が下がれば霧は発生するはずだ」