置かれたボールペンがコロコロと転がる。
「霧が関係してた?」
「いなくなったとされる時間帯には霧が発生してるね」
俊さんは頷きながら言った。
ということは、圭吾さんがまた時空を越えるためには霧が不可欠ということだ。
霧待ちってこと?
「霧が発生する条件っていうのも気象台からもらってきた」
そう言って、俊さんは別のクリアファイルから用紙を取り出した。
「俊さんは準備がいいですね」
圭吾さんが感心してつぶやく。
本当にそうだ。
そんなことまで見越して、資料を用意しているのだから。
「川の上で霧が発生する場合のひとつに、川の水が冷たい空気に覆われた時とか、その空気が移動する時に、空気よりも暖かい水面から蒸発する水蒸気が冷えて発生するものがあるらしい」
「え? なんだかよくわからないんだけど」
「簡単に言うと、暖かい水の上を冷たい空気が通ることで霧が発生するんだ」



