「あの川周辺で神隠しが頻繁に起きたって話、前にしただろう?」
俊さんの言葉に私はうなずいた。
「その人たちが消えた日に霧が出てかどうか調べてみる」
「どうやって?」
「気象台に行けばピンポイントのデータがあるんだよ」
俊さんによると、どこの地点で何時何分に何ミリの雨が降ったか、霧や靄の発生状況などが気象台にはデータとして残っているらしい。
それを明日、早速もらいに行くという。
俊さんが、そんなことまで知っているとは……。
パソコンといい、気象台のデータといい、普段の俊さんからは想像もつかない知的な姿だった。



