桜の花びら、舞い降りた


「……そんな夢を?」

「ねえ、圭吾さん。それって実際にあったこと?」


川面から圭吾さんへ視線を移すと、握り締めた拳が欄干の上で震えていた。
それを見て確信してしまった。
あの夢は実際にあったことなのだ。


「圭吾さん、私って美由紀さんの生まれ変わりなのかな。そんなことってあるのかな……」

「亜子ちゃん……」


圭吾さんの目が潤んでいた。
けれど、それ以上なにも言わず、圭吾さんは口を閉ざした。

それはきっと、この前、神社で私があんなことを言ったせいだろう。
『私は美由紀さんじゃない。そんなに会いたければ、とっとと帰ればいいじゃない』と。

圭吾さんは、私をまた傷つけてしまうと思ったに違いない。
……ごめんね、圭吾さん。


「圭吾さんと美由紀さんが橋から飛び降りたときって、どんな感じだった?」

「どんな感じ?」


圭吾さんが首を傾げる。
質問の意図が読めないみたいだった。