圭吾さんの表情が強張っていくのが、見なくても分かった。
私はそのまま続けた。
「夢の中で私は美由紀さんだったの。圭吾さんと手を取り合って橋から……。これって、圭吾さんが美由紀さんと橋から飛び降りる時の場面?」
「……俺、そんなことまで……話した?」
私は首を横に振った。
驚いた表情で、圭吾さんが私を見つめる。
やっぱりそうなの?
私が見たのは、実際にふたりが橋から飛び降りるときのもの?
「白いワンピース着てた?」
圭吾さんが一言一句確かめるようにゆっくり尋ねる。
「うん。ひざ丈くらいの」
「帽子は?」
「やっぱり白くて、右側にコサージュがついてた」
圭吾さんが黙り込んだ。
「それと、他にも夢を見たの。ふたりであの灯篭に名前を彫るところ。美由紀さんが『お兄ちゃんって意外と小心者だね』とか、圭吾さんが『バチが当たる』とか」



