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翌日、学校からアトリエへと直行するお馴染みの橋の上に、圭吾さんの姿を見つけた。
欄干にもたれて、ぼんやりと川を眺めている。
その横顔に悲しそうな色が滲んでいるのを見て、胸がなにかで押しつぶされたように痛んだ。
圭吾さんにとって、ここは違う場所。
決して口には出さないけれど、やっぱり過去に戻りたいのだ。
美由紀さんに会いたいのだ。
その気持ちを知っていながら、帰るための手助けをしない自分がいやになる。
「圭吾さん」
私が声を掛けると、彼は我に返ったかのようにハッとして私を見た。
「おかえり」
そう言ったときには笑顔は戻っていたけれど、その直前に浮かべていた寂しげな残像は見て取れた。
「ここでなにしてるの?」
「冷たい風にあたりたくなって、ブラっとしてた」
圭吾さんの隣に立って川を見下ろす。
相変わらずゴーゴーと低い音を立てて、水が流れている。
灰色の水面は、空の分厚い雲をそのまま映し出していた。



