「亜子ちゃんの誕生日はいつ?」
「私は四月十六日」
このあたりでは毎年、ちょうど桜が咲き始める頃だ。
今年の春はどうだろう。
その頃には、圭吾さんはもうこっちにいないだろうか。
ふとそんなことを考えた。
「ねえ、圭吾さん……」
「なに?」
香織が言っていたことが蘇る。
『夢で見たことを圭吾さんに確認してみるといいよ』
「あのね……」
そのあとの言葉が続かない。
やっぱり聞くのが怖かった。
あの夢が本当に現実にあったことだとしたら、私はどうしたらいいんだろう。
「……ううん、なんでもない」
何度考えてもわからなくて、誤魔化すしかなかった。
「なんだよ、ケーキをもっとくれとかそういうことか?」
俊さんがからかうように言う。



