「亜子の分はないぞ」
「えー! ひどい!」
ほぼ毎日のように通っているのに、私を数に入れてくれないなんて。
大人げないと思うのは間違いじゃないはず。
唇を尖らせた私を見て、俊さんがクククと肩を震わせる。
「冗談を真に受けるな」
――じょ、冗談!?
「そんなのわかるわけないでしょ!」
俊さんならやりかねないことだし。
立ち止まって雪をキュッと踏みしめた。
「来ないのか?」
歩き続ける俊さんが振り返りもせずに言う。
「行きます!」
ケンカ腰に言って、その背中に追いついた。
おかげで、重い足取りがなんとなく軽くなったことには心の中でお礼を言おう。
「久しぶりに顔を見たように思うのは気のせいか?」
「ちょっと風邪ひいて寝込んでたの」
「亜子が風邪!?」



