◇◇◇
それから丸三日間に亘って寝込んだ私は、久しぶりに学校へ来ていた。
お昼休みは恒例の化学室だ。
香織と並んで座り、黒いテーブルにお弁当を広げる。
「あれ? お弁当に戻ったの?」
早速、香織に突っ込まれた。
年明けからずっと、お母さんが作ってくれたお弁当を拒否し続けてコンビニのおにぎりやサンドイッチばかり食べていた私。
“仲直り”とわざわざ銘打つほどのことでもないけれど、今日はお弁当持参だ。
香織の質問に適当に相槌を打ちつつ、お弁当箱のふたを開けた。
「あれからどう? 新たな夢は見た?」
「……うん」
繰り返し何度も見るのは、圭吾さんとふたりで手を取り合って逃げて、あの橋から飛び降りる場面だった。
新たなシーンを見るたびに、『そういえばそうだった』と、忘れ去った遠い記憶を少しずつ思い出すような、とても不思議な感じにあれから包まれている。
「なんかすごいな。こんなに近くで前世の記憶を持つ人がいるなんて」
香織は目をキラキラさせて私を見ていた。
そういう世界に興味のある香織には、私はたまらないサンプルのようだ。
「……やっぱり生まれ変わりなのかな」
圭吾さんの話を聞いて、勝手に私が作り上げた想像の産物じゃないの?
タイムスリップなんて、あまりにもショッキングな話だったから、それにつられるようにして妄想が花開いただけとは考えられないの?
「だとしか考えられないでしょ。圭吾さんに聞いてみなよ。それではっきり分かるはずだから」
香織はそう言ってから、大きなおにぎりを頬張った。



