桜の花びら、舞い降りた


「おばさんに亜子が目を覚ましたって言ってくるね」


香織はそう言って部屋から出て行った。

さっき見た夢が頭の中をぐるぐる駆け巡る。

いつも見る夢とはちょっと違う感じがしたのは事実。
私が見る夢はたいていぼんやりとしていて、目覚めると同時に、そのほとんどが記憶からなくなる。
それなのに、夢の中で私が美由紀さんのとき、それがものすごくリアルに感じた。

今こうして目を閉じても、そのとき感じた空気感が鮮明に浮かんでくる。

圭吾さんと笑い合う美由紀さん目線の私。
圭吾さんとつないだ手の感触……。

全てが実際に経験してきたかのように、私の脳裏をぐるぐると回る。

それは、絶え間なくずっとだった。