桜の花びら、舞い降りた


香織の顔がみるみるうちに真顔になる。
なにを言われるのかと身構えた。


「覚醒したのかも」


香織はボソッと言った。


「覚醒?」


彼女が大きくうなずく。


「神社に行ったことがきっかけになって、前世の美由紀さんの記憶が目覚めたんじゃないかな」


そんな……。
圭吾さんと一緒にいたい、美由紀さんのように圭吾さんに想われたいって願望が強かったからじゃなくて?


「……そんなこと、あるの?」


譲歩して生まれ変わりがあるとしても、前世の記憶だなんて。
そんなこと信じられないよ。


「夢で見たことを圭吾さんに確かめてみたら? それが実際にあったことなら、亜子は美由紀さんの生まれ変わりの可能性が高いよ」


圭吾さんに確かめる?
そんなことして、もしも本当に私が美由紀さんの生まれ変わりだったら……?