桜の花びら、舞い降りた


「圭吾さーん!」


冷えた欄干に手をつき、川に向かって叫んでみた。
川からはサラサラと流れる水の音以外なにも返って来ない。

もしかしたら、もう既にこの橋から飛んで、過去に戻ってしまったのかもしれない。
そう思うと走る気力もなくなった。
私はそのまま雪の上に座り込んだ。

じわじわと冷たさが体をむしばんでいく。
このままここで、雪に埋もれて一体化してしまいそうだ。

そのときだった。
背後から近づく足音が聞こえたのは。

それが、私のすぐ後ろで止まる。
振り仰いで、息が止まりそうになった。


「……圭吾さん」


よかった。
過去に帰ったわけじゃなかったんだ……。


「やっと見つけた」


立ち上がる私の体を圭吾さんがゆっくり引き寄せた。


――え? 圭吾さん……?


彼の腕が私を優しく抱きしめる。
雪で凍った圭吾さんのコートが私の頬を濡らした。