桜の花びら、舞い降りた


あの存在を知っていたような気がしてならない。
意識の奥深くに強烈に刻まれた記憶。
それが一瞬のうちに蘇った。


「さっき亜子、圭吾さんのことを懐かしく感じるって言ったでしょ?」

「……うん」


どういうわけか、初めて会った時から圭吾さんには懐かしさを覚えた。
会ったばかりなのに、懐かしいなんておかしな話なのに。


「前世にかかわりを持った人に現世で会うと、初めて会うのに懐かしい感情になるって、ある心理学者が本に書いてたよ」


香織の言葉に絶句する。

前世で親しくしていたから、現世で会うと懐かしい……?
そんなことが本当に?

心理学を専攻したいという香織ならではの発言だった。


「でも、どうしてその人が前世で会った人だって分かったの?」


普通に考えたら、そんなの確かめようがない。


「その心理学者が、ある患者さんを退行催眠にかけたら、偶然、前世と思われるところまでさかのぼっちゃったんだって。それでね、どの前世の時に行っても、近くにいる人はいつも同じ人だってことが分かったの。それは、ある時代では母親だったり親友だったり、恋人だったりって具合にね。つまり、魂が呼び合うのかな」