桜の花びら、舞い降りた


「最初から順を追って話してくれる?」


香織はテーブルの上で手を組むと、じっと私を見つめた。


「さっきね、圭吾さんとふたりで遠回りして帰ったんだけど、その途中にさびれた神社があって……」


たった今、起きたことを香織にひとつひとつ話していく。

初めて行ったはずなのに、その場所を知っていた感覚。
見たことも触ったこともない灯籠の裏に、なぜか強烈に引き寄せられたこと。
もっとさかのぼってしまえば、初めて会った圭吾さんをなぜか懐かしいと思う気持ち。
初めて触れた手に、電気でも走ったような感じがしたこと。

すべてを香織に聞いてもらった。


「亜子は前世ってどう思う?」


聞き終えた香織はしばらく黙ったあと、真剣な表情で私に尋ねた。


「……よくわからない。でも、美由紀さんの生まれ変わりだから圭吾さんに惹かれるのかもしれないって、さっきここに走ってくる間に考えた。もしかしたら私の高所恐怖症は、あの橋から飛び降りたことが原因なのかもって」


そしてなによりも、あの灯籠に刻まれたふたりの名前だ。