「……亜子ちゃん」
突如、沸いてきた複雑な感情が私を混乱させたのだ。
私が美由紀さんの生まれ変わり?
違う、そんなの違う。
生まれ変わりなんてことが、あるわけない。
そう打ち消す裏で、芽生えていた圭吾さんへの特別な感情の理由を思い知った気がしていた。
ただ顔が似ているだけ。
そう思っていたのに。
圭吾さんに惹かれる想いは、ここへきて急速に膨らんでいた。
私は立ち上がり、その場から逃げるように走り出した。
「亜子ちゃん!」
うしろで圭吾さんの私を呼ぶ声が、木の間を縫ってこだまする。
違う。私は美由紀さんじゃない。
振り返りもせずにひたすら走った。
チラチラ降り出した雪が、私の心をいっそう冷やしていった。



