桜の花びら、舞い降りた


「ここは、美由紀とふたりでよく来た場所なんだ。ふたりであの灯篭の裏に石を使って名前を彫った」


美由紀さんとふたりで……?
どうして私がそれを知ってるの?

私を突然襲った感覚が体を震わせる。


「亜子ちゃんは、もしかしたら美由紀の生まれ変わりなんじゃないか……?」


私たちのすぐそばに、杉の木から大きな雪の塊がザザッと音を立てて落ちてきた。
雪煙が上がる。

白く煙る中、眉をひそめた圭吾さんの目が私を見つめる。
私は首を横に振った。


「違う……違うよ。私は美由紀さんなんかじゃ……ない」


そんなの……違うに決まってる。


「だけど……」


それじゃどうして灯籠のことを知っていたんだと、圭吾さんの目が訴えていた。
強くて寂しい目だった。

そんな圭吾さんを見て、途端に反発心が膨れ上がる。


「そんなに美由紀さんに会いたいなら、早く帰ればいいじゃない」