「圭吾さん?」
誰の足跡もついていない道に圭吾さんの足跡が続いていく。
私も彼の後を追うしかなかった。
「ねぇ圭吾さん、どうしたの?」
「この場所、知ってるんだ」
背中に声を掛けると、肩ごしに少し振り返った圭吾さんが答えた。
何十年もずっと変わらずにあるような場所だけに、確かに圭吾さんが知っていてもおかしくないようなところだ。
ザッザッという足音が響く。
そうして短い細道を抜けると、突然目の前が開けた。
杉の木に囲まれてぽっかりと穴が空いているような場所だった。
奥には神社の境内がひっそりと佇む。
……なんだろう、この不思議な感覚は。
なんとも言えない感覚が、不意に私を襲う。
ここに来たことがある――。
直感でそう思った。
来たことのない場所なのに。
懐かしそうにして立つ圭吾さんを置いて、私は境内に向かって歩き出した。
この景色を見たことがある。
既視感がふっと現れては消えていく。
境内に向かって歩くと、右手には石の灯篭。
この裏には……。



