◇◇◇
ついさっきまで降っていた雪はいったん止んだものの、街を白くデコレーションした雪雲は、まだ空に居座り続けている。
またいつ降り出すかわからないような空模様の下、圭吾さんとふたり、俊さんの個展が開かれている春風閣をあとにした。
知っている場所を見つけた直後ということもあって、圭吾さんの提案で少し遠回りをして帰ることになった。
もしかしたら、ここ以外になにか見つかるかもしれないと思ったからだ。
市街地から徐々に離れ、だんだんと喧騒から遠ざかる。
それは、雪を踏みしめる音以外になにも聞こえてこなくなるほどだった。
雪が全ての音を吸収してしまっているみたいだ。
「ここは……」
圭吾さんがふと足を止める。
「どうかしたの?」
そこは、ずっと昔からある神社らしきところだった。
人の侵入を拒むように、杉の木が乱立している。
その木が雪をすっぽりと被り、白一色の景色を作っていた。
比較的近くに住んできた私も、ここに来るのは初めてだ。
神社へ続く細道に圭吾さんはひとり、足を踏み入れた。



