「昭和四十年の四月なんですが……」
さすがに五十二年も経っているだけあって、紙はヨレヨレだし黄ばんでいる。
少しでも負荷がかかったら破れてしまいそうだ。
会長さんはメガネのふちを持ち上げて、用心深くページをめくっていく。
「あぁ、あったよ。何日なんだい?」
「十八日です。赤塚家と芹沢家です」
圭吾さんが答える。
「十八日ね……はいはい……。ありましたよ」
会長さんが台帳を私たちのほうへ向けると、圭吾さんは顔を近づけて凝視した。
これで、ここが圭吾さんの言う“春風閣”と同じだと判明したことになる。
「あの、このパーティーは実際に行なわれたんでしょうか」
圭吾さんが尋ねると、会長さんは「はい?」と目を丸くした。
いったいなにを聞いてるんだろうと思ったのは一瞬だった。
実際に行なわれていたならば、圭吾さんと美由紀さんは橋から飛び降りなかったことになる。
けれど、もしも中止になったならば、ふたりは橋から身を投げて命を絶ったことになる。



