主にパステル調の水彩画は、見ているだけで優しい気持ちに包まれる気がした。
私が好きな、少女と三羽の白い鳥の絵も飾ってある。
「亜子」
呼ばれて振り返れば、そこには白髪で細身の男性を連れた俊さんがいた。
この人がスポンサーであり、このホテルの会長さんみたいだ。
俊さんは直々に連れてきたようだ。
「こんにちは」
圭吾さんと揃って頭を下げる。
「はい、こんにちは。このホテルのことを聞きたいというのは、キミたちかい?」
滑舌もはっきりしているし、背筋もしゃんと伸びている。
さすが、老舗ホテルの会長さんだ。
「ここは出来てから何年になりますか?」
「今年で創業六十周年だよ。まぁ、何度か改装なんかはしているが、大幅な建て替えはやっとらん。その記念の意味もあって、俊くんには個展を開いてもらったんだ」
なーんだ。
俊さんってば、そういう説明は受けているはずなのに知らないなんて。
きっとそのあたりのことは適当に聞き流していたんだろう。



