桜の花びら、舞い降りた


ドリームワールドのキャラクターの小さなキーホルダーだ。
五千万人目の記念品としてもらったぬいぐるみと同じキャラクター。
香織はストラップ部分を指先でつまんで揺らした。

あ、そういえば、あの写真、俊さんのアトリエに置いてきちゃったっけ。
ぬいぐるみも花束も、あそこにはそぐわないと俊さんに持たされて家に持ち帰ったけれど、写真の存在をすっかり忘れていた。


「圭吾さん、どうしてるの?」

「どうしてるって?」

「帰る方法っていうか、なにか手がかりみたいなものは?」


私は力なく首を横に振った。
昨夜、俊さんはあの川にまつわる奇妙な話をしていたけれど。
それ以外のことはなにもない。


「昔から、あの川では神隠しみたいなことがあるんだって」

「神隠し?」


香織がポカンと顎を突き出す。
昨夜の私と似たような反応だった。


「あそこで忽然と姿を消した事例がいくつかあるみたいで……」

「じゃ、神隠しに遭った人たちはみんな、どこか別の次元に迷い込んでるってこと? で、圭吾さんもそのひとり?」