桜の花びら、舞い降りた


圭吾さんが長く深く息を吐く。
それは、まるで体中の空気をすべて吐き出してしまうようだった。

そうすることで心の重しが少しでも軽くなればいいと願わずにはいられない。


「圭吾さん、大丈夫?」

「え? あ、大丈夫だよ」


無理に笑う姿が痛々しい。


「ごめん、俺なんかのことでいろいろ心配させて」

「そんなことないよ」


圭吾さんがなにかを思い出すとき。
それが圭吾さんとの別れになるんだと思うと、なぜか胸が痛んだ。

このままなにもわからなければ、圭吾さんはずっとこの世界にいるしかなくなる。
帰る手段がわからなければ、ずっとここに……。

俊さんがもたらした“時空のゆがみ”の話は、私の心に小さなさざ波を立てた。