私のレベルに付き合ってくれた圭吾さんと、無難なコーヒーカップやおとなしめの乗り物を乗りつくし、写真と記念品をもらって帰ってきたところだ。
「ところで、ちょっと興味深いことを聞いてきたんだ」
俊さんはソファに投げ出していた足を床に下ろすと、膝の上に両肘を突いて組んだ手の上に顎を乗せた。
いったいどんな話なんだろうかと、圭吾さんと私は立ったまま顔を見合わせる。
椅子を持ってこいという動作を指先ですると、私たちがそれぞれに座ったことを確かめてから俊さんは話し始めた。
「あの橋の下に流れる川で、昔から神隠しみたいなことがあったみたいだ」
「あの橋って、圭吾さんがいた橋のこと?」
私の質問に俊さんがうなずく。
「そこで神隠しが?」
圭吾さんと私は声を揃えて聞き返した。
「個展を開いてくれるスポンサーのじいさんから聞いた話だ」
“スポンサーのじいさん”なんて。
お金を出してくれる人に対して、そんな言い方は失礼だ。



