「心配した」



目が合って数秒。


わたしの肩に頭を軽く乗せて七瀬先輩が息を漏らすように呟いた。



ーーードキンッ



「ダメです……夏目先生が、います……」



シトラスの香りに包まれた中でトクトクと胸が小さな甘い悲鳴をあげる。


それと同時に夏目先生に対するものなのか、いけないことをしてる気持ちに支配されそうになる。



「いいよ、なんだって。それにお前のこと見てたのに無視すんなよ?」


「なんでもよくないですよ……っ、み、見てたって、体育の時の……」



だってそれは勘違いかもしれないと思ってたし、わたしはつい目を背けたから。