「大人になれよ、常磐」
苦い顔でそう言い放った七瀬先輩を睨むように見上げる常磐君を、わたしは見たことがない。
「なれるものならなってますよ。ずいぶん和藤さんにご執心みたいだから今回だけ譲ってあげます」
「とっ、常磐君……」
「和藤さん、ごめんね?具合よくなったら教室で待ってるから」
「うん」
いつもの常磐君の表情を見届けてわたしは頷いたけど、後ろ髪を引かれる気持ちだった。
「身体弱いクセに無理すんなよ?」
「……だからっ、弱いわけじゃありません。今日はたまたま、熱中症で……って」
こんなところまで来るなんて……。



