「ん……好きな人……津田先輩なの」 さっき聞こうと思ったけれど、もしかして……とわたしが思った理由は。 先週の朝。 津田先輩と階段で遭遇した時の杏奈も、声をかけただけで顔が真っ赤だった。 それは、初めて見た杏奈の表情で。 「わたし、気づかなかった。わたしは、恋愛なんて無縁で。だからなんて言ったらいいかわからないけど、頑張……」 あ……、あれっ? 視界が……杏奈の姿が、ゆらゆら揺れてる。 地に着いた足がおぼつかない。 感覚が麻痺したように言うことをきかなくて。