解放されたと思った瞬間。 七瀬先輩は再び覆すようなことを言い放った。 「オレがお前を襲っちゃうってことだけど?」 「……っ」 襲っちゃうって、全然笑えない……。 わたしは物騒な言葉に反論することすら出来なかった。 夕陽を背負った七瀬先輩の憂いの影を含む瞳に捕らわれたせいで、瞬時に思考回路が停止する。 「オレがそばにいると、そんなに困る?」 「困ります……アナタがいつ現れるか考えてばかりだし、一緒に帰るなんてもっての他で、それにっ……」