【完】七瀬先輩と秘密の恋におちて




引き際………?


忠告するような口調で告げるその真意は、わたしにはさっぱり理解出来ない。



「和藤さん?」



不意に名前を呼ばれて挙動不審、全快。


首だけで返事もする余裕すらなくて夏目先生の口から出る言葉が怖かった。



「昴が悪さしたら私に言ってね?ちゃんと教育してあげるから。ねっ?」


「うるせぇよ」



妖艶(ようえん)な声音を漂わせてそう言ったけれど、悪さも何も既に七瀬先輩には困ってるんですが……。


それに夏目先生が言うとリアルなんですけどっ。


しかも二人の関係を知ってしまったわたしとしてはなおのこと。



「……大丈夫、ですっ」



それ以外になんて答えればいいんですか?


途方に暮れそうな思いで七瀬先輩を見上げると、眉をしかめて口元だけで笑みを落とした。


ドキンッ……。