「七瀬君……?」 反射的に反応すれば安心するのはまだ早いとばかりに、続けて現れた人物に再び焦りだした。 その艶のある聞き慣れたといってもいいその声の持ち主をわたしはよく知っていたから、驚きよりも不安さえ感じてしまって。 「まだ残ってたのか。秋帆。先に帰ったのかと思ったろ」 教室の入り口の前に立ち尽くしたまま、ふふっと小さく笑う夏目先生は深みのあるルージュを光らせる。 「叫び声が聞こえたと思って来てみたら、七瀬君達だったのねぇ?」 ーーー夏目先生……。