夕方でもちっとも傾こうとしない太陽のせいで、確かに暑苦しさを感じるけど。

夏はこの暑さがずっと続くからやだ。



「ううん。今日は貧血も起きてないし、平気……ごめんね。しっかり、しなきゃね」



夏休み明けから文化祭の準備に追われるんだから、と考えないようにしても、頭の片隅にはやっぱり七瀬先輩のことがある。


どうしてもソレを消し去ることが出来なくて。



「何でも言ってよ。オレ、出来ることはしたいし、それに和藤さんはいつも一人で頑張ろうとするから」



常磐君がチラっとこっちを向く。


常磐君は、本当に優しいな……。


あの悪魔とは大違いーーーいや、比べるなら常磐君は天使かもしれない。



「ありがとう」



お礼を言うと常磐君は微笑んでくれた。


常磐君と別れたわたしは、荷物を取りに教室へ踵を返すと、ありえないことが起きてる……。