「ああ。竹川、早起きもほどほどにしとけよ」


「えっ……えっ…!?」



大きな瞳をさらに見開いて驚く杏奈とクールな津田先輩のやり取り。


あの、なんの会話ですか……?


背の高い津田先輩は杏奈を見下ろすように見つめてそう言うと、七瀬先輩よりも早く去って行った。



「杏奈……、早起きって?津田先輩と知り合……」



問いかけたけれど赤面する杏奈は完全に石みたいに固まっている。



「お前から会いにきてくれたわけ?」


「は、はい?何言ってるんですか……?」



ちょ、ちょっと、杏奈の前でそういうのやめてください……。



ひきつりながら目で訴えるわたしをよそに七瀬先輩は楽しそうに笑う。



「放課後、待ってる」



わたしの耳元で低い声を潜めて言った。


ドキッと反応してしまうわたしは言葉の意味を全く理解出来ず。


だから、放課後って……。


まさか資料室で突き付けてきたあの条件のことなんだろうけど、アナタとなんて一緒に帰ったりしたらみんなに見られること間違いない。


本当にバレたらどうしてくれるんですか……?