「おはよう、委員長さん?」



嫌味たっぷりにわたしを見下ろす妖しい瞳。


ああ、もうっ、最悪………。


バッタリもいいとこ、現れたのは七瀬先輩。



「おっ、おはようございます……」



目を逸らして先に答えた杏奈は落ち着かない様子。


だけどソレは校内一の“美しい悪魔”である七瀬先輩に遭遇したからじゃなかった。



「つ、つ……津田(つだ)先輩っ……!」



七瀬先輩と一緒にいたのは同じ三年の津田 保(つだ たもつ)。


バスケ部のキャプテン兼エースプレイヤー。


良く言えばクールで悪く言うならば無愛想な津田先輩は、日に焼けた肌と黒い髪、切れ長の瞳の彼を狙う女の子も多くいるんだけど。



「あのっ、津田先輩っ!練習……頑張ってください……っ」



カバンを持つ手をギュッと握って珍しく眉を下げ、一所懸命に伝える杏奈。