「さっきまでの威勢はどこいったんだよ?」
クスッと笑う気配に悔しくなって勢いよく顔を上げると。
「……っ」
それを後悔した時にはあとの祭りで。
もう、本当にわたしの視界いっぱいを覆うような洗練されたとしか言い様のない七瀬先輩の顔があった。
「それ、お前の方から近づいてんだよ?」
心臓がキュッと音をたてて、耳まで熱に染まっているであろう顔を、一体どう隠したらいいのかわからなくて……。
「そうやって……からかわないでくださいっ!アナタの、用件は何ですか……?」
こんな人に赤面するなんて不覚にもほどがある。
無理矢理に冷静さを取り戻しつつ七瀬先輩から一歩後ろへ下がると、入り口のドアに背中が押し当たる。



