恥ずかしさに耐えきれず自然と強く目を閉じて、初めて名前を呼んだ。


おそるおそる目を開けると、やっぱり夢よりも淡く微笑んでくれた。


 
「オレと、恋におちる気になった?」



そう零して、大胆不敵に笑ってみせる。


ーーー恋は、きっとおちるものだから。


気づいたら、わたしは………



「もう、おちてます……」



わたしはとっくに、アナタに恋におちてるから。



「だから、責任とってくださいね?」



少しだけ仕返ししてみても、



「オレに勝てると思ってんのか?」



なんて、余裕たっぷりに目を細める。


七瀬先輩にタジタジになるわたしの耳元に再び唇を寄せる。



「覚悟しとけ」



美しい悪魔に、わたしはきっとずっと勝てない。



*Fin*