「ったく。聞いたのか」 常磐君に、夏目先生に、そう言いたげなように息を漏らす七瀬先輩にわたしは静かに頷いた。 しばらく沈黙が流れたけどそれを破ったのは七瀬先輩の方だった。 遠い夏空の彼方を見つめるように唇を開く。 「あの日、常磐がうるさくて、秋帆は変に動揺してて。煩わしくてベランダから外を見てた」 掠れた声に眉根を寄せる七瀬先輩の瞳が揺れる。 ーーー憂いの影を含んだ瞳がわたしを映す。 「見下ろした世界で、オレはお前を見つけた」