【完】七瀬先輩と秘密の恋におちて




「人から聞いた話なんだけどね、人間って、“助けて”とか、むやみに大声を出すよりも、“火事だ”……って叫んだ方が中にいる人々は外を見ようとするんですって……」


「え?外を見る……?」



不意に思い出すのは、絶望の空から降ってきた声に、ビルやマンションの窓が開かれたこと。


次々にベランダに出て慌ただしく下を見始める住人だった。



「もしかしたら、“あの日そう叫んだ人”は、何かを見つけていたのかもしれないわね?私には、何かなんて、わからないけれど……」



夏目先生は悲しげに笑った……。


心に降るどしゃ降りの雨が止んで、お日様が照らすような温かさがじんわりと染み渡る。