「うん。本当に火事かと思ったんだよ。けど、オレもそれが嘘だってことを、あとから知ったんだけどね……」
「……嘘って。どういうこと?」
空気みたいな声しか出てこない。
思考を巡らしても理解なんて出来なくて、汗はいつの間にか何度も背中を伝う。
常磐君の色褪せた瞳は何も映していないようだ。
「だって……そう叫んだのは、七瀬昴だから……」
何かの聞き間違えかと思った。
七瀬先輩が…………?
絶望に諦めかけたわたしに、夏空から降ってきた、低い声の正体。
「嘘……、」
まさか、そんなことあるハズがない……。



