【完】七瀬先輩と秘密の恋におちて




もどかしいほどの距離に立ち尽くす常磐君と目と目が合った。


短い沈黙が落ちて、すぐに消えた瞬間。



「突然、“火事だっ!”って叫び声が聞こえた」


「……っ、火事?」



夢から覚めたように声を発したわたしは、まさかと動揺していた。



封印した絶望がわたしの中でざわざわとうごめく。



あの日、茹だるような夏の日、わたしと常磐君は同じ声を聞いていた。


そう遠くはない場所で……。



「でもさ、知ってる?本当はあの日、火事なんてなかったんだよ……」


「……で、でも。あの日、常磐君もわたしに、火事があったって」